++日雇い派遣の現場[転載可]

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日雇い派遣の現場】[転載可]

思い立ったので、「実際に日雇い派遣で働いた人の立場」でごく簡単に記事を書いてみようかと思います。

日雇い派遣では、仕事の多いときには自分の能力に合わせて「なじみの仕事を選ぶ」ことができます。
(月臣の場合は「H運送」。基本は力仕事だけど、ベルトコンベアによる仕分けなんかでは女性もかなり頑張ってます。)

仕事の少ないときでも、「引越し補助」ができる人はなんとかやってゆけます。
(月臣は体力に自信が無いので引越しや事務所移転はあんまりやりません。数合わせのため、未経験者をこっそり混ぜたりすることもあるので、体力や体の構造に自信の無い人は、避けた方が無難でしょう。)

月臣は、体に自信が無いので、派遣一本でやるのは自ずと無理な計算になります。


●さて、実際の現場では、日雇い派遣の人は、「今日来ても、明日も来てくれるかは分からない」というのが「普通の空気」です。

なので、正社員の人や、長期バイト・長期派遣の人が日雇い派遣毎日教える、というのがよくあるパターンです。

よって、教えられる内容には自ずと限界があり、教える方も教えられる方もかなり苦労します、結果的に。

月臣もはじめは「何でこんな険悪な雰囲気で仕事するのかな」と恨んだりもしましたが、周囲の状況を観察するうちに「なるほど、教える方も大変だ」と思うようになりました。

どこの現場に行っても、必ずはじめの1時間ぐらいは「教える時間」として取られてしまう。
教えてすぐできる人もいるが、月臣なんかはむしろ「教えられても、実際に仕事を始めてからもう一度聞かないと理解しきれないタイプ」だった。

また、一日の仕事が終わって、現場の指示者から「明日も来れるの?」と聞かれるのもよくあるパターン。

本当に簡単で、ちょっと教えたら誰でもできる仕事なら翌日に違う派遣さんが来てもなんとかなる。
でも、ある程度複雑だったり、「慣れ(体性感覚)」が必要な仕事の場合、雇う側としては「せめて1週間でもいいから」連続で来てもらいたい。
それが、実際の派遣現場での実情です。

●あえて書きますが、月臣なんかは前日の仕事で気分的に嫌なことがあると、翌日の仕事を決めたくなくなってしまう。
教える方だって、「どこから来たか知らない人たち」に毎日毎日1から仕事を教え続けなければならないのは、相当に苦痛のはず。
時として、現場の空気が「異様に悪い」のは、こういうイキサツに因る。

派遣さん」の方は、2~3日働いて「小遣い」ができたら、すぐに飲み食いに使ったりパチンコですったりしてしまう。財布が心細くなると次の仕事を求めるが、「次の仕事」がタイミングよく手に入るとは限らない。そうこうしているうちに、家賃は払えなくなるし、ケータイや電気まで止められてしまったら、「仕事を探す」ことさえできなくなってしまう。

一方「現場の指揮者」の方は、苦労して教えても、明日来てくれる望みは薄いし、例え人数だけはそろっても、「一緒に仕事をする気の無い人」と仕事を続けるのは辛い。「習熟・熟練」の必要な作業は、人数の多寡に関係なく、ほとんど「自分ひとりに集中」してくる。

せっかく派遣バイトを雇っても、企業全体として得をする人間が、果たしてどれだけいたのか?
「一人もいなかった」と断言してもよいと思う。

●そもそも、「雇用の流動化」というのは、小泉改革のあたりで言われたことだそうだが、当時は「マトモに働く気もないのに正社員として保護されている人がかなり多くて困る」という声が上がっていたと記憶している。

当時の月臣は、「父親への反抗心」もあり、全面的に小泉首相を支持したものだった。

「『痛みを伴う改革』、素晴らしいじゃないか!小泉さんほどの人物がそう言うのなら、こっちもその『痛みを伴う改革』とやらに、いっちょ付き合ってやろうじゃないか」
そんな感覚だった。


ちなみに、僕は郵政民営化にも賛成だった。
「民主主義の常道」として、「公のものを民に返し、
公ではやりにくい改革を施す」という考え方に、
とても共感を持ったからだ。


●しかし、結果としては「製造現場で熟練が育たない」という致命的な弊害を生む原因にもつながってしまい、戦後日本人の積み上げてきた「目に見えない財産」をダメにしてしまったのではないか??

安直に日雇い派遣を利用してきてしまった月臣の立場からしても、問題は「とても分かりやすいところにあった」と思う。(小泉さん、もしかしてそこまで計算に入れてたのか^^;たぶんそうだな。)

前出の「H運送」は、お中元やお歳暮の時期が「異様に」忙しい。
文字通り「猫の手も借りたい程の大パニック」だ!
携帯電話の組み立ても、「季節ごとのニューモデル」が慣例化している現在、繁忙期と閑散期との差が激しい。
印刷業界もそう。
他にも「忙しいときだけ人が欲しい業界」はたくさんあるはずだ。

日雇い派遣には、確かに多くのメリットがある。
だが、「熟練が育たない⇒日本経済全体が活力を失う」とうい流れは、現場を少々観察すれば、結構実感できる事柄であった。