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【グスコーブドリの伝記】宮沢賢治

[転載 - 3-2/9] 【グスコーブドリの伝記】 宮沢賢治 [三、「沼ばたけ(後半)」] ブドリは主人に言われたとおり納屋(なや)へはいって眠ろうと思いましたが、なんだかやっぱり沼ばたけが苦になってしかたないので、またのろのろそっちへ行って見ました。す…

【グスコーブドリの伝記】三:沼ばたけ/宮沢賢治

[転載 - 2回目/全9回] 【グスコーブドリの伝記】 宮沢賢治 三 沼ばたけ ブドリは、いっぱいに灰をかぶった森の間を、町のほうへ半日歩きつづけました。灰は風の吹くたびに木からばさばさ落ちて、まるでけむりか吹雪(ふぶき)のようでした。けれどもそれは…

【グスコーブドリの伝記】宮沢賢治

[転載 - 2回目/全9回] 【グスコーブドリの伝記】 宮沢賢治 二 てぐす工場 ブドリがふっと目をひらいたとき、いきなり頭の上で、いやに平べったい声がしました。 「やっと目がさめたな。まだお前は飢饉(ききん)のつもりかい。起きておれに手伝わないか。」…

【グスコーブドリの伝記】宮沢賢治

[転載 - 1回目/全9回] 【グスコーブドリの伝記】 宮沢 賢治 みやざわ けんじ ↑ますむらひろしのコミック版↑ ◇ ◆ ◇ 一、 森 グスコーブドリは、イーハトーヴの大きな森のなかに生まれました。おとうさんは、グスコーナドリという名高い木こりで、どんな大き…

1[転載]【幸福の王子 - The Happy Prince】オスカー・ワイルド作;結城浩訳(1/4)

[転載] 【幸福の王子 - The Happy Prince】 オスカー・ワイルド作;結城浩訳 町の上に高く柱がそびえ、その上に幸福の王子の像が立っていました。王子の像は全体を薄い純金で覆われ、目は二つの輝くサファイアで、王子の剣のつかには大きな赤いルビーが光っ…

『花の命は短くて苦しきことのみ多かりき』:林芙美子

花の命は短くて 苦しきことのみ 多かりき 林芙美子 海が見えた。海が見える。 五年振りに見る尾道の海はなつかしい。 汽車が尾道の海へさしかかると 煤けた小さい町の屋根が提灯のやうに拡がってくる。 赤い千光寺の塔が見える。山は爽やかな若葉だ。 緑色の…

小説【家族の時間】

魔法戦艦リュケイオン【家族の時間】 [夏目高太郎の憂鬱] ◆ ◇ ◆ 子供たちはキラキラと遊び、はしゃぎまわり、 傍らには、私の身の程に過ぎるほどの佳き妻。 新緑は山川に萌えたち、 草花の息吹は私たちを知らずのうちに 柔らかく、軽やかな存在へと解きほぐ…

【魔法戦艦リュケイオン】++放浪篇++家族の時間

魔法戦艦リュケイオン 【家族の時間】 「母として、女として」[3/3] ◇ ◆ ◇ やがて川岸の方から子供たちのはしゃぐ声が聞こえてくる。どういう成り行きかは知らないが、高太郎さんと子供たちは、獲れたての魚を抱えつつ、カンフー映画の真似みたいにポーズを…

【魔法戦艦リュケイオン】++放浪篇++家族の時間

魔法戦艦リュケイオン 【家族の時間】 「母として、女として」[2/3] ◇ ◆ ◇ 私たちも、子供たちについて石積みの階段を下りてゆくと、やがて目の前に、先ほどまでは車から見下ろすだけだったせせらぎが、滔滔(トウトウ)として絶え間なく流れていた。 都会の生活に…

【魔法戦艦リュケイオン】++放浪篇++家族の時間

魔法戦艦リュケイオン ++放浪編++ 家族の時間 ◇ ◆ ◇ [序] 「母さん、人間は何んのために生きるの?」 ある日長男の剛徳(タケノリ)が私に聞いた。 「それはね、大きな幸せをみんな一緒に楽しむためよ。」 私は迷わずそう答えた。 「大きな幸せをみんなで、か…

『君は黒人の握った寿司を食えるか』

教育テレビで聞きかじったことだか、アメリカの奴隷解放論争には、学校で習う部分には登場しない「ウラ」があるそうだ。 月臣自身がきちんと調べたわけではないが、北部諸州が奴隷解放を主張したのは、工業化が進み、農業に使役するための黒人奴隷が要らなく…

【仮面武闘会2:闇に躍る牙】紙谷龍生著

【あらすじ】 二子玉川高校2年B組「真船拓郎」は、<仮面武闘会・日本支部>に属する<仮面武闘者=アトラクター>である。 日本支部の隠れ蓑たる富士アトラクションクラブで『仮面ヒーローフェスティバル』のバイトからの帰りみち、拓郎は敵対する秘密結…

君死にたまふことなかれ

ああおとうとよ、君を泣く 君死にたまふことなかれ 末に生まれし君なれば 親のなさけは まさりしも 親は刃(やいば)をにぎらせて 人を殺せと をしへ(教え)しや 人を殺して死ねよとて 二十四までを そだてしや 堺の街の あきびとの 旧家をほこる あるじに…

ケータイ試験

ケータイを買った。 写真は板垣退助。

【ジンギとさおり(1)】

父さんが死んで4年になった。 岐阜の山中にある土岐自治州は、父さんを中心として、ディフォミティも人間も 皆で力をあわせて作った豊かな町だった。 特に、核融合の技術では光徳王国中から注目を浴び、世界で唯一の「ヘリカル式核融合炉」の実験では、 州…

【タオのプーさん】

くまのプーさんのナチュラルな生き方を通して「老荘思想=タオイズム」を語る。 【タオのプーさん】(Amazon) 【タオのプーさん】(7&Y) [著者/訳者名] ベンジャミン・ホフ/著 吉福伸逸/訳 松下みさを/訳 E・H・シェパード/絵 [出版社名] 平河出版社 (IS…

【龍兵の最期】

「我々支配者は何んのために支配するのか!? それは、無知で身勝手で、ともすれば破滅の道を突進している事にさえ気付かずにいる小さな民衆の 未来を憂い、教育や法律によって彼らを導き助けるためではないか! そのための政治的地位を、私欲のために濫用する…

【抱擁】

「ただいまぁ~~♪」 芙美子の元気な声が狭いアパートの部屋中に響き渡った。 「おかえりぃ~~!!」 娘の晶子と、息子の剛徳が転がるように玄関まで走り出してくると、 そこには芙美子に伴なわれて、小太りで、物腰やわらかそうな中年男が微笑んでいた。 「…

【家族の時間(3)】

◇ ◆ ◇ 九竜(カオルン)飯店。 三国漁港で水揚げされた新鮮な魚介類をふんだんに使い、かつ、庶民的な値段の中華料理は、 海鮮料理店の多い三国自治州の中でも五つ星といわれる人気である。 「何でも頼んでいいですよ?」 広く小奇麗な店内はほぼ満席に近く、仕事…

【家族の時間(2)】

三国漁港に隣接する(株)三国海鮮加工に、1日13時間という長時間の労働に耐えつつ 2人の子を育てる母がいた。 兵頭芙美子、31歳。 都市結界『原子の盾』の外で漁をしていた夫を失い、この4年というもの、女手一つで 2人の子を育てて来たそうである。 決し…

【家族の時間(1)】

光徳32(グレゴリオ暦2055)年12月25日、 クリスマスを祝うこの豊かな三国自治州で、「あの事件」は発生した。 ------------------------------------------------------------------------------------------ [光徳32年12月25日] ---20時30分--- (株)三国海鮮…

【「阿片戦争(上)」陳舜臣著】

[画像は、月臣のHTML版の記事。] 林則徐をはじめ清末の人々は如何にして 動乱の時代を生き抜いたのか ●「阿片戦争」は、習慣性・毒性の強い阿片を、イギリス商人が盛んに清国へ「密輸」 したために、官民共に阿片の毒に犯されただけでなく、阿片の代金として…

【消えた母子】

【矛盾】という言葉がある。 中国戦国時代、楚の国で、ある男が武具を商っていた。 彼は自らの商う武具を讃えて 「この矛(ほこ)はどんな堅い盾をも突き通すことができる、世界に比類なき矛にござりまする」 しばらくすると男は共に並べてあった盾を高々と差…

【閔妃(明成皇后)】ver.1

k 【閔妃(明成皇后)】人物カード(代理・笑) ◇ ◆ ◇ (1851-95)第26代朝鮮王・高宗の妃。 清・露勢力を背景に親日派を圧迫。 駐韓日本公使三浦梧楼に扇動された壮士らに暗殺される。 ◇ ◆ ◇ [偵察]使用を宣言する→相手の 技術カード1枚を捨て札にする。 ゲーム中…

【犬神龍兵の最期】

男性的な強さと大胆さで一族を統率し、土岐自治州を発展させてきた犬神竜兵の最期の弁舌に、 周囲を取り巻く半獣半人の犬神一族も、煬妃親衛隊の将兵も、しばし静まり返っている。 「我々犬神一族は、不当な抑圧に屈する生よりは、名誉ある死を選ぶ!!」 力…

【土岐の惨劇】

■第一章■土岐の惨劇 ◇ ◆ ◇ ガガーーーン、 ガガーーーン・・・。 無数の銃口から放たれた銀の銃弾に射抜かれ、 今、1体のディフォミティ(放射能被曝奇形児)が倒れようとしている。 その姿は、世界の終末に太陽を呑み込むために放たれるというフェンリル・ウ…

【退魔八幡甲】

◆昔書いた小説の挿絵。 主人公「犬神ジンギ」が、「悪魔ボアル」に乗っ取られた「朱雀アケミ」を救けているところ。 ◆月臣の「アキレス腱」(爆) http://www.h3.dion.ne.jp/~kodama-g/frame-n.htm