【「阿片戦争(上)」陳舜臣著】

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林則徐をはじめ清末の人々は如何にして

動乱の時代を生き抜いたのか


●「阿片戦争」は、習慣性・毒性の強い阿片を、イギリス商人が盛んに清国へ「密輸」
したために、官民共に阿片の毒に犯されただけでなく、阿片の代金として支払われる銀が
清国から流出、銀価が暴騰、清国民を二重に苦しめたところに根本的な原因がある。
 
●「厳禁」「弛禁」論争の過程にも、清国全土の様々な立場や情裡に基づく紆余曲折があったが、
林則徐は実地の検分によりその「二重の害毒」を痛感していた。
 
一方、自らが苦しい禁煙に成功していた道光帝は謹厳な林則徐を信任し、堂々たる「厳禁論」は、
民衆の実状をかえりみぬ「弛禁論」を断固として下し、林則徐は欽差大臣としていよいよ阿片商人に
挑む。
 
●本書には、林則徐ら史実の人物も登場するが、「連維材」と息子たちなどの架空の人物を自在に
描くことで、史上の人物を鮮やかに浮き彫りにしている。
 
●表現は快活で、時に繊細。
陳氏の最も充実した文章の一つと言えるだろう。