【イブン・バットゥータ】モロッコ生まれのイスラムの大旅行家

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イブン・バットゥータ
ロッコ生まれのイスラムの大旅行家
[生1304 - 没1377]

●タンジール(タンジェ:北西アフリカ、現モロッコ王国)生まれのイスラムの大旅行家。

マルコ・ポーロが17歳で旅に出た1271年に遅れること約五十数年後の1325年、21歳で故郷を出、イスラム圏に発達していたメッカ巡礼キャラバン隊に参加し、隊内の法官として職務を行いつつアフリカ地中海沿岸からエジプトを経てメッカ大祭に参加。

更にその後も7回のメッカ大祭参列を挟んで各地の学者・高官などを訪問。

●アフリカ東海岸(ソマリアケニアタンザニア)、中東、コンスタンチノープル、イラン・イラクなどの各地を見聞して歩き、インドやモルディブ諸島では現地の王朝に法官として仕えた。

東南アジア、中国への旅については諸説あるが、出発から25年後の1350年、46歳で故郷タンジールに帰る。

●翌年、対岸のグラナダ(ナスル朝)に渡り、レコンキスタを掲げるカスティーリャとの戦闘を見聞。この時、学者・文筆家のイブン・ジュザイイと出会う。

1352春からは、本国マリーン朝のスルタン:アブー・イナーン王の命によってサハラ砂漠の交易都市、ワラタ(イーワラータン)・トンブクトゥ・ガオ(カウカウ)や、ニジェール川流域のマーッリー王国(現マリ共和国南部)などを視察。

●翌年末、王都フェズに帰ると、スルタンの命によってイブン・ジュザイイと共に各地での見聞を編集。『リフラ:都会の珍奇さと旅路の異聞に興味をもつ人々への贈物』(邦訳:『三大陸周遊記』)として上梓した。

著者イブン・ジュザイイによる装飾や、イブン・ジュバイル(1145年 - 1217年)の「リフラ(巡礼記)」からの引用による肉付けもあり、14世紀の世界について多くの情報を得ることができる。

スンナ派(範例派)以外の宗派や異教徒についての記述もあるため、イスラム世界で禁書とされていたが、17世紀、オスマン帝国のバイルーニーが抄本を編纂したことで世界中で翻訳・研究されるようになり、マルコ・ポーロの旅行記との比較によって当時の世界を知る重要な資料のひとつとなっている。