【誰が日本の医療を殺すのか --- 「医療崩壊」の知られざる真実】本田宏著

[メモ]
誰が日本の医療を殺すのか
医療崩壊」の知られざる真実
本田宏著
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洋泉社;新書Y --- \819(税込) 
 
【以下、Amazonに投稿された”源氏”氏によるコメント】
 
 医療崩壊の背景要因についての分析が書かれています。内容の詳細は他のレビューに任せますが、医師の間では既に通説として、知識の共有がなされているデータのように思われました。
 私には、それが、著者の精力的な活動の賜物なのか、通説を本にしただけなのかわかりません。
 
 しかし、こうした事実を広く国民に知ってもらう活動はとても大事です。
 
 これ以上の崩壊を防ぐために、抜本的な政策転換、だけではなく、政策決定プロセスの改善を実現するには、全国民を巻き込んだ大規模なムーブメントが必要なのは明白です。そうした活動のために、仕事だけでも限界を超えているであろうにもかかわらず、命がけで取り組む著者には敬意を表します。
 
 細部については意見が分かれると思います。特に、本書では医師の増員が強調されていますが、勤務医の待遇を放置したまま、医師を増員をしても、劣悪な環境にあえて飛び込みたい者はおらず、使い捨て要員が増えるだけで解決にならないことは、よく言われています。実際に、医師の間では医師増員についての賛否は半々です。
 
 私は、新しい病院や機材などの無駄なハードへの投資は断じていらないし、勤務医待遇改善をきちんと実現しないままの、医師増員には反対の立場です。医師(だけでなくコメディカル、介護従事者)がいなくなるのは待遇が悪いからにほかなりません。勤務医、医療従事者、介護従事者などに、仕事に見合った報酬と十分な休息、事務的なサポート体制が用意できなければ、いくら数を育てても大量離職はなくなりません。