【水ビジネスで海外進出/民間と連携,ノウハウ活用/東京都】

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[メモ]
【水ビジネスで海外進出】

民間と連携・ノウハウ活用[東京都]
(Kensetsunews.com)より---H22.02.12

 東京都水道局は、国際貢献方策の一環として、海外の水道事業への参画も視野に検討を始める。同局では、これまで海外研修生の受け入れなど、人材教育の面で国際貢献を果たしてきた実績はあるが、世界的な水不足など直面する課題解決に向けて、同局の持つ水道技術や運営ノウハウを活用するとともに、民間企業と提携して海外の水道事業を受託する方向で検討を進めていく。発展途上国を中心に、世界的に水ビジネスの市場規模が増大する中で、公営企業として運営してきた水道事業をビジネスとしてとらえ、官民連携による国際貢献を図る考えだ。

 具体的なスキームとしては、都の監理団体である東京水道サービスの活用をイメージしている。海外の水道事業体である国や自治体が、施設管理などの受託者を公募する際に、東京水道サービスと水道プラント建設会社などの民間企業と提携して応札する形だ。日本国内でも有数の水道事業者である同局の技術ノウハウや知名度を生かし、特に途上国での安定的な水供給に貢献していく考え。

 世界的に見ると、フランスや英国といった欧州では、古くから民間企業が水道事業に携わっている歴史がある。また、日本の商社も、中国やフィリピン、アラブ首長国連邦(UAE)などで現地企業と共同で浄水場下水処理場などに事業参画しているケースもある。

 同局は、これまで海外研修生の受け入れや職員の派遣など、主に人材教育の面で国際貢献に取り組んできた。海外研修生の受け入れは、2001年の155人から年々増加傾向にあり、08年度の実績では425人を受け入れるまでになっている。

 世界の水市場の規模は、現在の約35兆円程度から、2025年には約80兆円超にも上ると予想されている。

 また、配水管などの漏水や給水管の損失量などを指す無収水量率は、マニラの62%を最高に、アジアの主要都市で軒並み30%以上となっているのに対し、日本は約10%程度となっている。
 日本全体での水道有効率は92.4%(04年度時点)という高い水準で、東京に限って見れば現在の漏水率は約3%だ。戦後に約80%とも言われた漏水率をここまで引き下げてきた技術や運営ノウハウは、ビジネスとしての事業展開も十分可能だとの判断もあったようだ。


◆具体化へ実施方針
 同局は10日、これらの具体化に向けた実施方針を策定した。実施方針によると、▽海外事業調査研究会の設置▽東京水道国際貢献ミッション団の派遣▽ビジネスモデルの展開・参画――の3分野で構成。

 海外事業調査研究会を4月をめどに設置し、海外の水道事業体のニーズに応じたビジネスモデルの検討を進める。また、ミッション団の派遣では、10-12年度の3カ年でアジアを中心に都水道局職員などが現地に出向いて実情の把握や東京の水道技術のアピール活動などを行っていくほか、ビジネスモデルの展開・参画では、調査研究会の検討を踏まえて、事業化の可能性について幅広く検討していく考え。