【特別会計】

special account
 
 国の財政において、一般的な歳入歳出と区分して経理する必要がある場合に設けられる会計。
 
 予算原則には、単一会計の原則とか総計予算の原則があり、国全体の財政状態の把握や全体にわたる収支の調整と財政の健全性の維持を容易にするために、数多くの予算の併存を回避し、原則として予算を一本化する努力がなされてきている。
 
 しかし、例外的措置として、特別会計が一般会計と区分して設けられている。
 
 日本の財政法は、「国の会計を分つて一般会計及び特別会計とする」(13条1項)として、特別会計を設けることを容認したが、同時に単一会計の原則を捨てず、「国が特定の事業を行う場合、特定の資金を保有してその運用を行う場合その他特定の歳入を以(もっ)て特定の歳出に充(あ)て一般の歳入歳出と区分して経理する必要がある場合に限り、法律を以て、特別会計を設置するものとする」(13条2項)となし、特別会計の設置をもって例外的措置とし、その設置については法律主義を採用したのである。
 
 「特別会計に関する法律」(平成19年法律第23号)は、一般会計と区分して経理を行うため、特別会計を設置するとともに、その目的、管理および経理について定めている。
 
 2009年(平成21)においては、次の17の特別会計が設置されている。
 
 
(8)年金特別会計
 
(15)特許特別会計
 
 
 同法第2章には各特別会計の目的、管理および経理が規定されている。
 
 特別会計も国会で審議され、承認されねばならない。
 
 所管大臣は毎会計年度、その管理する特別会計の歳入歳出予定計算書、繰越明許費要求書および国庫債務負担行為要求書を作成し、財務大臣に送付する。内閣は毎会計年度、各特別会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、国会に提出する。
 また、特別会計の決算についても、所管大臣は毎会計年度、歳入歳出決定計算書を作成して財務大臣に送付し、内閣はそれらに基づいて、各特別会計の歳入歳出決算を作成し、一般会計の歳入歳出決算とともに、国会に提出する。
 
 一般会計と特別関係にはかなりの重複があり、重複額を調整した差引純計額が算出されている。
 2010年度予算における一般会計92兆3000億円に対して特別会計は367兆1000億円で、単純合計額は459兆4000億円となるが、会計間のやりとり等の重複額が283兆円に上り、純計額は176兆4000億円である。
 
 なお、地方公共団体においても、特定の事業を行う場合、特定の資金を保有してその運用を行う場合、その他特定の歳入をもって特定の歳出にあて一般の歳入歳出と区分して経理する場合において、条例で特別会計を設置することができる、と地方自治法に定められている。
 
[ 執筆者:林 正寿 ]
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