見えない隣人★イスラムを知ろう【応用編 → 発展編】上手に知って上手にビジネス - イスラムとの付き合い方

見えない隣人★イスラムを知ろう
【応用編 → 発展編】
上手に知って上手にビジネス - イスラムとの付き合い方
 
ハラール (Feペディア)
 
 ハラール(حلال Halāl) は、イスラム法で許された項目をいう。主にイスラム法上で食べられる物のことを表す。
 
 反対に、口にすることを禁止されている物をハラーム(حرام‎ harām)と言い、この語は「禁じられた」という意味でハーレムと同じ語源である。
 
 イスラム法の下では豚肉を食べることは禁じられているが、その他の食品でも加工や調理に関して一定の作法が要求される。この作法が遵守された食品がハラールとされる。
 
 なお、ハラールとハラームの中間に疑わしいものシュブハ(Shubuha)という概念がある。シュブハな食品はできるだけ食べることを避けることとされている。
 
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目次
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1 概要
2 食肉に関する規則
3 医薬品問題
4 根拠

5 脚注
6 関連項目
7 外部リンク
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[1.概要]  
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(←左)インドのハラールマーク
(右→)中国のハラールマーク
 
 豚だけでなく、犬や虎などの獲物を捕獲するための牙や爪がある動物、啄木鳥、ロバ、ラバを食べることが禁止されているが、それ以外の肉であっても殺し方が正規の手順に従ったものでなければ食べられない。このため、ムスリムイスラム教徒)は単純に材料表示だけを見て判断することが出来ないためハラールの表示が必要となる。
 
 クルアーンの第二章173を根拠に緊急時にはハラールではない食品を食べることも容認されているスマトラ島沖地震インドネシアイスラム教徒に対して外国からの援助物資に豚肉などが入っていたとしても食べて良いとするファトワー(勧告)が出され公式に食べて良いとされたことがある。
 
 一方で中国・四川省で発生した四川大地震により被災した中国人イスラム教徒は、非常事態であったにもかかわらず、ハラームの救援物資の利用を拒否する者が多かった。非イスラム教徒が多数派を占める地域においては、ハラールを守ることは殊の外重要視される場合もある。
 
 ムスリムの人口が乏しい国家や地域では、イスラム諸国からの旅行者・実業家・留学生などのために、シールなどによって食品がハラールであることが示されていることが多い。これとは対照的に、ムスリムとその他の宗教の信徒の人口が拮抗している国家や地域では、原則として無表示の食品をハラールとしつつ、ムスリム以外を顧客として想定したハラームの食品に限って表示がなされていることがある。
 
 サウジアラビアなど原理主義の強い国では法律でハラールでない食品の販売や輸入流通が禁止されている国もある。そのような国でハラールでない食品を販売した場合には犯罪とされ、ハラールでない食品をハラールであると偽造することも犯罪とされている。
 
 イスラム諸国会議において、ハラールの世界標準規格が議論されているが、宗派の違いや加盟国間の文化、経済情勢、政治的利害関係などが原因で標準化には時間がかかると言われている。
 
 ハラールの規則もムスリムによっては厳格に守っているわけではなくビッスミッラー(アッラーの御名において)と唱えればどんな肉でも食べてよいとする世俗派もいる。トルコなど世俗化が進んだ地域では飲酒や豚食をするムスリムもいる。
 
 広義の意味では食べ物に限定されずイスラム法において『合法』であることを示す記号としても用いられている。たとえば、衣服、玩具、家電製品などにもハラール(合法)は適用される。衣服の場合は女性の体の露出を禁止している規定に違反していないデザインであることを証明するマークとして付けられたりする。
 例えば、「ブルキニ」という水着はハラール(合法)とされている。また、ゲームなどにおいてもイスラム教で禁止されている賭博に該当しないことを証明する印として用いられることがある。このような審査や判断はウラマー(識者・イスラム法学者)が行うことが一般的であり、特定の製品をハラール(合法)であると認めるファトワー(勧告)が出されることもある。
 
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[2.食肉に関する規則]

牛肉など食肉に関しては以下の規則を守らなければならない。
 

その家畜が食べた餌にハラームに違反するものが入っていてはならない。
屠畜
 必ずムスリムが殺したもので無ければならず、鋭利なナイフで「アッラーの御名によって。アッラーは最も偉大なり」と唱えながら喉のあたりを横に切断しなければならない。
 また 『電気ショックによる処理は好ましくない』 とされており、子羊やヤギ、子牛などの種類によって、電気ショックの電流・電圧、通過時間が細かく規定されている。
 絞殺や撲殺は禁忌である。なんらかの事故や病気で死亡した家畜の死体を食肉とすることも禁忌である。
 ただし搬送などの手伝いは異教徒が行っても良い。
解体処理
 牛の頭をキブラ(礼拝方向)向けて完全に血液が抜けて死んでから行う。血を食することは禁忌であるため完全に血を抜かなければならない。

輸送保管
 保管場所や輸送する乗り物に豚が一緒になってはいけない。
冷蔵庫からトラックまで全て別にする必要がある。
 
 野菜や穀物であっても肥料に豚の糞などが使用された物は禁忌であると解釈される事がある。(特にシャリーア(イスラム法)に規定があるわけではない)
 

[3.医薬品問題]

 
豚を禁忌とするのは肉だけでなく、豚に由来する酵素蛋白質にまで及ぶこともある。 これは医薬品や化粧品などにも適用範囲が及ぶこともあり、実際にサウジアラビア、イラン、インドネシアなどでは法律で禁止されている。
 
 現代の製薬業界において細菌の培養に必要な培地の生産に豚由来の分解酵素が使用されていることは珍しくない。 このため、非常に広範囲の医薬品がハラーム(禁忌)である可能性があり、豚由来の分解酵素が使用されているかどうかは非常にわかりにくいためムスリムの間では難しい問題になっている。
 
 例えば、2009年にはインドネシアで、聖地メッカを巡礼するために必要なワクチンの接種においてワクチンの製造に豚の酵素を使用していたことが問題となった[1]。
 
 また、2000年にインドネシアの味の素で、発酵菌の栄養源を作る過程で触媒として豚の酵素を使用していたために日本人技術者1人を含む東ジャワ州モジョクルトの味の素工場幹部4人が消費者保護法違反容疑で逮捕されるという事件が起きている。
 この事件ではブタ酵素が製品に残留している可能性は無く、仮にあったとしても検出可能限界を下回るほどの微量に過ぎなかったが[2]、ハラールの基本的な考え方では豚と一緒に保管されたり触れたりした食品も禁忌とされるため、製品に全く残留していなかったとしてもイスラム思想的には禁忌とせざるを得ない事情がある。
 このため、インドネシア当局から触媒であっても認めないとする厳しい判断が下された。味の素は触媒を変更することで再度、販売の許可を得た。

[4.根拠]
根拠となるクルアーンの記述には以下の物がある
 
第二章173
 かれがあなたがたに、食べることを禁じられるものは、死肉、血、豚肉、およびアッラー以外の名で供えられたものである。だが故意に違反せず、また法を越えず必要に迫られた場合は罪にはならない。アッラーは寛容にして慈悲深い方であられる。

第五章3
 あなたがたに禁じられたものは、死肉、血、豚肉、アッラー以外の名を唱え殺されたもの、絞め殺されたもの、打ち殺されたもの、墜死したもの、角で突き殺されたもの、野獣が食い残したもの、ただしあなたがたがその止めを刺したものは別である。
 また石壇に犠牲とされたもの、籤で分配されたものである。これらは忌まわしいものである。
 今日、不信心な者たちはあなたがたの教えを打破することを断念した。だからかれらを畏れないでわれを畏れなさい。今日われはあなたがたのために、あなたがたの宗教を完成し、またあなたがたに対するわれの恩恵を全うし、あなたがたのための教えとして、イスラームを選んだのである。しかし罪を犯す意図なく、飢えに迫られた者には、本当にアッラーは寛容にして慈悲深くあられる。
 
第五章90
 あなたがた信仰する者よ、誠に酒と賭矢(賭け事)、偶像と占い矢は、忌み嫌われる悪魔の業である。これを避けなさい。恐らくあなたがたは(酒・博打・偶像崇拝を避けることに)成功するであろう。

第五章91
悪魔の望むところは、酒と賭矢によってあなたがたの間に、敵意と憎悪を起こさせ、あなたがたがアッラーを念じ礼拝を捧げるのを妨げようとすることである。それでもあなたがたは慎しまないのか。

第五章96
海で漁撈し、また獲物を食べることは、あなたがたにも旅人にも許されている。だが陸上の狩猟は、巡礼着の間は禁じられる。アッラーを畏れなさい。あなたがたはかれの御許に集められるのである。
第六章121
 またアッラーの御名が唱えられなかったものを食べてはならない。それは実に不義な行いである。しかし悪魔は、自分の友を唆し、あなたがたと議論させようとする。あなたがたがもしかれらに従うならば、あなたがたは正(まさ)に多神教徒(異端)である。
 
 
[6.関連項目]
食のタブー
 
[7.外部リンク]
 
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※この「ハラール」は、イスラームに関連した書きかけ項目です。加筆・訂正などをして下さる協力者を求めています。