【緒方貞子の反乱】難民と歩んだ10年~緒方貞子・国連難民高等弁務官~3/4 [YouTube]

緒方貞子の反乱】
難民と歩んだ10年~緒方貞子・国連難民高等弁務官~3/4 [YouTube]
 
◇ ◆ ◇
 
ボスニア[Bosnia]、1992年2月、
 
包囲されるイスラム居住地域への
UNHCR (United Nations High Commissioner for Refugees:
国連難民高等弁務官事務所)による援助物資を、
セルビア[Serbia(=セルビア正教徒)]側が妨害。
 
イスラム側は、 「首都サラエヴォ[Sarajevo]への援助物資ボイコット」 を宣言。

被包囲地域に住む罪無きイスラム
「政争の盾」にされた!!
 
●UNHCRの「人道援助のみによる紛争解決の限界」を訴える緒方氏だったが、「窮地に追い込まれた側がイスラム」という状況もあり、「紛争解決のための実質的な力」を持っている安保理の反応は冷淡きわまるものだった。
 
最終手段として緒方氏は、
サラエヴォへの援助中止」という「荒療治」を宣言。
 
安保理は、ボスニア問題に対する無関心・無行動を露呈する結果となった。
 
●数日後、セルビアに対する国際的非難の高まりに満足したイスラム勢力は、「援助物資ボイコット」中止を表明。
 
結果的には緒方氏の「荒療治」が功を奏した形となったが、緒方氏自身にとっても、「敢えてサラエヴォ市民への援助を中止する」といった「荒療治(=諸刃の剣)」は、できれば使いたくない手法だったに違いない。
 
国際政治学者たる彼女としては、この「荒療治」がどのような効果をあげるか当然知っていながらも、できれば使いたくない手段「=最後のカード」だったのではないか。
 
それは、 「刀を持たぬ者が心に秘める”武士の刀” 」 だったのではないか???
 
 
 
[03:15]
ボスニア・ヘルツェコビナ外務大臣(当時)
ハリス・シライジッチ氏
 
「国際社会は、ボスニアへの対策を、人道援助だけで済まそうとしていました。しかし、あの紛争の実態は、”大セルビア主義”に基づく侵略戦争であり、我々は国連による軍事介入を望んでいたのです。」
 
 
[04:10]
【緒方氏の決断】
 
●指導者たちに(あらゆる)説得試みましたが解決は得られませんでした。[字幕]
 
[緒方氏の発言]
I have done everything
 to persuade to the leaders
 to distinguish humanitarian belief from politics.
 
[原文直訳]
私は人道的信条を政治から区別する ように、説得するためのあらゆることをリーダーたちにしました
 
[言い換え]
I've try everything
 to the leaders
 to distinguish humanitarians belief from politics.
(↑間違ってるかもしれないけど、こう言ったほうがシンプルな気はする・・・^^;)
 
※何よりも大切なことは、緒方氏が、各勢力の指導者たちに対して「人道援助の大切さと政治的な駆け引きとを区別 し、被災している一般市民を、宗派・民族の区別無く救う道を開いてもらいたい」と説得して回った、というところ。
 
●このような決断を下すのは非常に心苦しいことですが、
But I have to be dicided (and ah...) it is painful decision,
 
●援助物資を載せたトラックに引き返すよう指示しました。
to move our convoys  back to the bases,
 
[04:32]
ボスニア国内での援助活動を今後中止(≒宙吊り・おあずけ・延期・保留・凍結 ) します。 [字幕]
 
[緒方氏の発言]
suspend all activities in ??? control  Bosnia,
I have decided to suspend all acivities in Sarajevo.
 
[原文直訳]
ボスニアでの(???のコントロールの)すべての活動を延期 します、
サライェヴォでの全ての活動を延期 することを決断しました。
 
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[06:06]
UNHCR官房長 S・ジェッセン=ピーターセン(当時)
 
緒方さんの決断に対して非常に動揺していました。
 
それは、 彼女が安保理の仕事を肩代わりしていた からです。
 
人道援助が停まってしまうと、
他にやれることは何もありませんでした。
 
安保理はまさに”裸の王様”でした。
 
だからあれほど動揺したのです。』
 
 
※つまり、紛争が激化して、「人道援助の分野だけでは対応しきれない状況」が目に見えているにもかかわらず、安保理が何もしようとしなかった結果、「援助拒否」や「援助凍結」といった最終手段が交わされてしまった、ということ。
 
安保理」という名の”裸の王様”は、
「緒方さん」という”仕立て屋”から、
 
安保理様、
国連の軍事力の真の存在意義は
”ヴァカ”には見えません」
 
 
と、宣言されてしまった、というコト。
 
◇ ◆ ◇
 
[続く緒方氏の発言](概要)
 
国際紛争・国内紛争は本来、政治のレベルで動かなければ解決できない問題です。
 
私たちUNHCRは、一時的に、難民に対する援助をしたり、そばにいてあげたりすることはできるけれど、根本的な解決については、政治が解決する以外には解決の道は無いのです。』
 
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『難民つくらぬ世界へ』
約60ページ / 504円
 
◇ ◆ ◇
 
 
[月臣の雑感]
 
現在の五大国は米・英・中・露・仏と言われている。
 
これら五大国は、
核兵器保有が認められ」、
安保理では拒否権を行使」
することができる。
 
五大国に次いで「常任理事国入り」を目指す国として、
日本・ドイツ・インド・ブラジルが挙げられている。
 
だが、これら9カ国の中に、イスラムの意見・立場を直接反映できる国はひとつもない。
 
イスラムの国が「非常任理事国」として選出されない限り、イスラムには発言権すら与えられないと、いうことである。
 
イスラムの視点から見れば、「不公平な安保理体制」と言える。
 
。。。
 
大国の覇権主義や、覇権維持のために演出された対テロ戦争など、
「男の世界の揉め事の尻拭い」を、
 
女性である緒方さんが、男たちと肩を並べ、時には男たちの作った武力さえも活用しつつ、
 
「生き延びてもう一度チャンスをつかんでほしい」という願いを実現しようと、危険も承知の上で活動を重ねているのだ。