【終戦・玉音】月臣なりの意訳をしてみました。

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終戦・玉音】
 
 
 
(ちん)深ク世界ノ大勢ト帝國(帝国)ノ現状トニ鑑ミ(かんがみ)
天皇である)私は、
深く世界の大勢と大日本帝国の現状とを考察し、
 
非常ノ措置ヲ以テ
特別な措置によって
 
時局ヲ收拾セムト欲シ
現在の時局を収拾しようと思い、
 
茲ニ(ここに)忠良ナル
ここに、忠良な
 
(なんじ)臣民(しんみん)ニ告ク(つぐ)
あなたがた臣民(軍人・官僚、および国民のすべて)に告げる。

朕ハ帝國政府ヲシテ
私は大日本帝国政府に命じて
 
米英支蘇四國ニ對シ
ソビエト連邦の4ヶ国に対して

其ノ共同宣言ヲ受諾スル旨通告セシメタリ
ポツダム共同宣言を受諾することを通告させた。
 
 
ポツダム‐せんげん【ポツダム宣言
1945年(昭和20年)7月26日、ポツダムで、米・英・中(のちにソ連も参加)が発した対日共同宣言。日本に降伏を勧告し、戦後の対日処理方針を表明したもの。軍国主義の除去・領土の限定・武装解除戦争犯罪人の処罰・日本の民主化・連合国による占領などを規定。日本政府ははじめ拒否したが、原子爆弾の投下、ソ連の参戦を経て8月14日これを受諾した。
 
◇ ◆ ◇

抑ゝ(そもそも)帝國臣民ノ康寧ヲ圖リ(はかり)
そもそも帝国臣民の安全を図り、
 
萬邦共榮(ばんぽうきょうえい)ノ樂(楽しみ)(とも)ニスルハ、
万国共栄の喜びを共にすることは、
 
皇祖皇宗ノ遺範ニシテ、
歴代天皇の教えであり、
 
朕ノ拳々(けんけん)措カサル(おかざる)所。
私が拳々服膺(けんけんふくよう:胸に捧げ持って放さない)して
おろそかにしない事柄である。
 
曩ニ(さきに)米英二國ニ宣戰セル所以モ、
先年、米英二国に宣戦布告した理由もまた、
 
(また)實ニ(実に)帝國ノ自存ト東亞(とうあ)
真に帝国の自立とアジアの
 
安定トヲ庶幾スルニ出テ(いで)
平和を心から願うことに発するものであり、
 
他國ノ主權(主権)ヲ排シ、領土ヲ侵スカ如キハ、
他国の主権を排除し、領土に侵入するようなことは、
 
固ヨリ(もとより)朕が志ニアラス。
もともと私の本意ではない。
 
◇ ◆ ◇
 
然ルニ(しかるに)交戰已ニ(すでに)四歳(しさい)閲シ(けみし)
しかしながら、戦争はすでに4年におよび、
 
朕カ(ちんが)陸海將兵ノ勇戰、
私の(統帥する)海将兵の勇戦、
 
朕カ百僚有司ノ勵精(励精)
私の(配下の)たくさんの官僚による頑張り、
 
朕カ一億衆庶ノ奉公、
私の(支配する)一億人の庶民による働き、
 
各ゝ最善ヲ盡(尽)セルニ拘ラス(かかわらず)
おのおの最善を尽くしたにもかかわらず、
 
戰局必スシモ好轉(好転)セス、
戦局は必ずしも好転せず、
 
 
世界ノ大勢亦我ニ利アラス。
世界の大勢もまた、わたしたちに有利ではない。
 
 
加之(しかのみならず)、敵ハ新ニ殘虐(残虐)ナル爆彈ヲ使用シテ、
それだけでなく、
敵はあらたに残虐な爆弾(原子爆弾)を使用して、
 
頻ニ(しきに)無辜(むこ)殺傷シ、
多くの罪のない人々を殺傷し、
 
慘害(惨害)ノ及フ所、
その惨害の及ぶところは、
 
眞ニ測ルヘカラサルニ至ル。
まったく予測不能の状態に至った。
 
◇ ◆ ◇
 
而モ(しかも)尚交戰ヲ繼續(継続)セム
(こんな状態にまで陥ったというのに、)
しかも、尚、戦争を継続するのか、
 
終ニ我カ民族ノ滅亡ヲ招來スルノミナラス、
(いや、このまま戦争を続けたなら、)
ついにわが民族の滅亡を招くだけでなく、
 
延テ(ひいて)人類ノ文明ヲモ破却スヘシ。
ひいては、人類の文明をも破壊してしまうであろう。
 
◇ ◆ ◇
 
斯ノ如クムハ(ごとくんば)朕何ヲ以テカ、
このようなことでは、私は何をもって、
 
億兆ノ赤子ヲ保シ
たくさんの国民を預かりながら、
 
皇祖皇宗ノ神靈ニ謝セムヤ。
歴代天皇の心霊に謝るというのか???
 
◇ ◆ ◇
 
是レ朕カ帝國政府ヲシテ
これが、私が帝国政府に命じて
 
共同宣言ニ應セシムルニ至レル所以ナリ。
ポツダム宣言に応じさせるに至った理由である。
 
◇ ◆ ◇

朕ハ、
私は、
 
帝國ト共ニ終始東亞ノ解放ニ協力セル諸盟邦ニ對(対)シ、
大日本帝国と共に、はじめから終わりまで常に
アジアの解放に協力してくれたそれぞれの同盟国に対し、
 
遺憾ノ意ヲ表セサルヲ得ス。
残念な気持ちを表さざるを得ない。
 
◇ ◆ ◇
 
帝國臣民ニシテ、戰陣ニ死シ、職域ニ殉シ、
帝国臣民で、戦場で死に、職場で命を落とし、
 
非命ニ斃レタル者、及、其ノ遺族ニ想ヲ致セハ、
不運にも亡くなった者、および、その遺族のことを想えば、
 
五内爲ニ裂ク。
私の五臓(はらわた)は、
その悲しみのために裂けてしまいそうだ。
 
且、戰傷ヲ負ヒ、災禍ヲ蒙リ(こうむり)
同時に、戦傷を負い、災難に遭(あ)い、
 
家業ヲ失ヒタル者ノ厚生ニ至リテハ、
職業を失った者の生活に至っては、
 
朕ノ深ク軫念(しんねん)スル所ナリ。
私は天皇として深く心配するところである。
 
◇ ◆ ◇
 
惟フニ(おもうに)今後帝國ノ受クヘキ苦難ハ
思うに、今後、帝国の受けるであろう苦難は、
 
 
固ヨリ尋常ニアラス。
もとより普通の苦難ではない。
 
 
(なんじ)臣民ノ衷情モ、朕善ク之ヲ知ル。
あなたがた軍人・官僚、および国民の心のうち(疑問・
反論や心配など)も、私はよくこれを知っている。
 
然レトモ、朕ハ時運ノ趨ク(おもむく)所、
しかしながら、私は、この世界の大きな流れの中にあって、
 
堪ヘ難キヲ   堪ヘ、
耐え難きを   耐え、
 
忍ヒ難キヲ忍ヒ、
忍び難きを忍び、
 
以テ萬世ノ爲ニ太平ヲ開カムト欲ス。
(その忍耐によって)
世界のために平和をもたらすのだ、と希望する。
 
◇ ◆ ◇

朕ハ茲ニ(ここに)國體ヲ護持シ得テ
私は今、国家の形を守ることができて、
 
忠良ナル爾臣民ノ赤誠ニ信倚(しんい)シ、
忠誠で善良なあなたがた臣民の真心を信頼し、
 
常ニ爾臣民ト共ニ在リ。
常にあなたがた臣民と共に在る。
 
◇ ◆ ◇

若シ夫レ情ノ激スル所
さて、もしも、感情の激しいままに
 
濫ニ(みだりに)事端ヲ滋クシ、
みだりに事件を起こしたり、
 
或ハ、同胞排擠(はいさい)互ニ時局ヲ亂リ(みだり)
あるいは、国民同士で押しのけたり
陥れたり、世の中の流れを乱し、
 
爲ニ大道ヲ誤リ、
そのために大事な判断を誤って、
 
信義ヲ世界ニ失フカ如キハ
世界の信用を失うようなことは、
 
朕最モ之ヲ戒ム(いましむ)
私は最も良くない事として禁止する。
 
◇ ◆ ◇
 
宜シク擧國(挙国)一家子孫相傳ヘ(あいつたえ)
よくよく国を挙げ、家に、子孫に伝え、
 
確ク(かたく)神州ノ不滅ヲ信シ、
固く日本国の不滅を信じ、
 
任重クシテ道遠キヲ念ヒ(おもい)
任務は重大であり、(成就への)道は遠いということを思い、
 
總力(そうりょく)ヲ將來(将来)ノ建設ニ傾ケ、
全ての力を将来の建設に傾け、
 
道義ヲ篤ク(あつく)シ、志操ヲ鞏ク(かたく)シ、
道義を厚く守り、信条を固く守り、
 
誓テ(ちかって)國體(国体)ノ精華ヲ發揚(発揚)シ、
日本国家の成り立ちの成果を盛り上げることを誓い、
 
世界ノ進運ニ後レサラムコトヲ期スヘシ。
世界の発展に遅れないことを決意せよ。
 
◇ ◆ ◇
 
爾臣民其レ克ク(よく)朕カ意ヲ體(体)セヨ。
あなたがた臣民は、私の思いをよく体現しなさい。