【原子炉いろいろ】(1/3)

[メモ]【原子炉いろいろ】(1/3)
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■■現代社会において、常に話題となる「原子力」。
「核開発」という言葉でカテゴライズするならば、「核兵器」と「原発」とは、まったく同じグループに分類される技術ではあるが、かたや大量破壊兵器、かたや人類に大きな富をもたらす尊い技術と、その使い方によってはまさに『諸刃の剣(もろはのつるぎ)』といった性質を発揮する、なかなかの難物、と言える。
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ベロを出したオッサンから順に、Albert Einstein、湯川秀樹朝永振一郎

●そもそもは第二次世界大戦中に研究されていた「軍事技術」ではあったが、戦後は心ある科学者たちの手によって、次第に「民生技術」という性質を強めている。

皮肉なことではあるが、莫大な資金をかけることが可能な軍事技術の「成果」から、民生用の「利器」が開発される、という流れは、確かにある。

もしも原子力がなければ、日本は高度成長のための産業技術の集積を実現できなかったに違いない。

●さて、原子炉には、大きく分けて2種類のタイプがある。
皆さんも御存知のとおり、
核分裂によるタイプ」と、核融合によるタイプ」である。

そのうち、「核融合」については、今回はあまり触れずに置くことにする。
なぜなら、核融合の技術開発には今のところ、とてつもない資金が必要であり、「地球温暖化」が現実問題として議論されるようになった現代社会においては、「カネのかかる核融合よりは既存の技術を応用した”太陽光””風力”その他」という現実的な時代の流れができつつあるからである。

●さて、核分裂炉」についてだが、これには実に様々なタイプがあり、核分裂時に放出さる高速・高エネルギーの中性子を、そのまま次の核分裂に使う「高速炉」や、水・黒鉛などに衝突・吸収させることによってエネルギーを下げてから使う「減速炉(熱中性子炉)」などがある。

日本などで民生用に利用されている原子炉の多くは、ごく普通の水で中性子を減速させる「軽水(減速)炉」であり、使用済み核燃料の中に核兵器製造に便利なプルトニウムがあまり多くは発生しないタイプである。

ただし、ふつうの水「軽水」は、減速能力が高く、多くの中性子を吸収してしまうため、せっかく高エネルギーになった中性子を、ある程度ムダにしなければならないし、燃料に使うウランも、手間を掛けて濃縮したものでないと使用できない。

●この問題を解決するために開発されたのが「重水(減速)炉」や「黒鉛(減速)炉」である。
これらは、水と比べて中性子の無駄が少ないので、掘り出して精製しただけの、濃縮していない「天然ウラン」をそのまま燃料として使うことができる。

 ただし、エネルギー効率がよい分、発生するプルトニウムも多く、国際社会にあってはその利用において、いろいろな意味で慎重さが必要であるようだ。
 
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【原子炉いろいろ】
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